アルカリハライド結晶の表面構造とダイナミクスの高分解能イオン散乱と分子動力学計算による解析

岡沢 哲晃

アルカリハライド結晶であるKI(001)とRbI(001)結晶の表面構造と格子ダイナミクスを、高分解能中エネルギーイオン散乱(MEIS)を用いて解析を行った。表面第1,2層間のRelaxationと第1,2層目のRumplingは、シャドーイング効果を利用して0.01Åの精度で決定した。次にClausius-Mossottiの関係式によって屈折率から決められた分極率を与えて、MEISから得られた格子位置を元に表面第1,2層目の双極子モーメントを自己無撞着的に決定した。得られた値はシェルモデル計算、分子動力学計算、RbI(001)に関しては第一原理計算による結果とも比較し、よい一致を得た。我々はまた結晶内部の熱振動振幅、結晶表面の熱振動振幅、および[001],[101]軸の相関係数を、色々な散乱条件で測定したMEISスペクトルから決定した。その結果、熱振動振幅には質量依存性がほとんど現れず、[001]軸方向に強い正の相関が存在することが明らかになった。アルカリハライド結晶の粒子間相互作用に関する様々な経験的ポテンシャルが提案されているが、理論計算によって得られる物理量は経験的ポテンシャルに依存するため、ポテンシャルを評価する必要がある。我々はMEISから決定した双極子モーメントを設定し、2種類のBorn-Mayer-type Potential を用いた分子動力学計算を行い、結晶内部と結晶表面の熱振動振幅、振動相関を求めた。その結果とMEISから得られた結果を比較し、Born-Mayer-type Potential を評価した。その結果、弾性定数からパラメータを決定したCatlow 達が提案したPotentialが実験結果と最もよく一致した。